ステーキは厚切りの肉を焼いたもので、バーベキューでも高い人気を誇る料理です。シンプルな調理法だからこそ、肉の種類や部位、焼き方などのちょっとした違いによって出来上がりが大きく変わります。そのため、「ステーキ用のお肉をどれにするべきかわからない」「ステーキが上手く焼けない」とお悩みの人も多いのではないでしょうか。
この記事では、ステーキ肉の選び方や焼き方など、美味しいステーキを作る上で役立つ情報を紹介します。
ステーキを食べるなら牛・豚・鶏どれがおすすめ?

一口にお肉といってもさまざまな種類がありますが、日常的に食べられる手に入りやすいお肉として牛・豚・鶏の3種類が挙げられます。このうち、ステーキに使われるのは一般的に牛であり、人気も高いです。しかし、豚や鶏も、牛とはまた違った味わいで美味しいステーキが作れます。
ここでは、牛・豚・鶏それぞれの特徴や味わいの違いを紹介します。
牛肉
牛肉は、風味のよさが大きな魅力です。栄養素の面では鉄分が豊富という特徴があり、貧血対策に効果的といわれています。一方、豚や鶏に比べて脂質が高い傾向もあるため、食べる量には注意が必要です。
牛肉は部位によって特徴の違いが大きく、ステーキに人気な部位はサーロインやヒレです。牛サーロインや牛ヒレは旨み・風味が豊かで、ステーキのようなシンプルな調理法によって美味しさが際立ちます。クセがある部位や硬めの部位は、煮込み料理に使うのが人気です。
豚肉
豚肉は、疲労回復効果があるといわれているビタミンB1を豊富に含みます。ビタミンB1は炭水化物(糖質)やアルコールの代謝に欠かせない栄養素であり、炭水化物が好きな人やお酒を多く飲む人は特に摂取したい栄養素です。
豚肉は牛肉に比べると淡泊な味わいでクセがないため、幅広い料理に使用されています。やや硬くなりやすいですが、火加減や加熱時間に注意すれば美味しく食べられるでしょう。ステーキに人気の部位としては、風味がよいロースや、うまみ成分が豊富な肩ロースが挙げられます。
鶏肉
鶏肉は3種類の中で最も脂質が少なく、あっさりとしたお肉です。タンパク質やビタミンAの含有量が多く、高タンパクで低カロリーなお肉といえるでしょう。
部位によって脂肪の量や味わいに違いがありますが、ステーキにするのであれば胸肉またはささ身がおすすめです。胸肉は火を通しすぎるとパサついてしまうため、観音開きにするなど厚さを均一にしてください。ささ身は牛や豚でいうヒレにあたる部分で、火を通しても硬くなりにくい点が特徴です。
豚肉や鶏肉は牛肉よりもクセがないため、あっさりとした味わいのステーキを楽しめます。
牛ステーキにおける部位の選び方

牛ステーキにするのにおすすめの部位として、以下の5種類が挙げられます。
- サーロイン
- ヒレ
- ランプ
- Tボーン
- タン
それぞれの特徴や味わいについて詳しく紹介します。
サーロイン
サーロインは、腰の上部にあたるお肉です。赤身と脂肪のバランスがよく柔らかな肉質で、霜降りの入りやすい部分でもあります。ステーキ肉として最も人気が高い部位です。
ヒレ

ヒレは、背骨の内側部分のお肉です。牛肉の中でも最も柔らかい部分であり、脂肪はほとんど入っていません。クセのない味わいで、旨みを強く感じられます。
ヒレもステーキ肉として高い人気を誇ります。赤身が好き・カロリーを抑えたい人の場合、ヒレ肉のステーキがおすすめです。
ランプ
ランプは腰から腿、お尻にかけてとれる赤身肉です。もも肉の中で最も柔らかい部位であり、濃厚な旨みを堪能できます。
柔らかく旨みの強いランプもステーキにおすすめの部位です。これまでに紹介したサーロインやヒレに比べて安価なため、より手軽に楽しめます。
Tボーン
Tボーンステーキとは骨付きのままカットして作るステーキです。骨の形がT字に似ているため、Tボーンと呼ばれています。片側はサーロイン、片側はヒレに該当する部分であり、1度に2種類の部位を楽しめるのがうれしいポイントです。
タン
タンは牛の舌のこと。舌の根元に近いほど柔らかく、先の方が硬めの食感です。タンをステーキにするのであれば、根元から真ん中あたりがおすすめです。タンならではの風味や肉質を存分に堪能できます。
ステーキ肉の選び方

ステーキはシンプルな調理法なので、肉質によって味わいが大きく変わります。そのため、お肉選びが非常に重要です。
ステーキ肉を選ぶ際に押さえたいポイントとして、以下の4点が挙げられます。
- オージービーフか和牛
- お肉の厚さ
- ドリップの有無
- 乾燥しているかどうか
それぞれ詳しく解説します。
オージービーフか和牛
ステーキ用の牛肉であれば、オージービーフか和牛がおすすめです。
オージービーフとはオーストラリア産の牛肉です。オーストラリアではグラスフェッドという広大な土地を利用した飼育方法を採用しています。オージービーフは赤身が多く栄養価が高い点が特徴であり、赤身肉が好きな人におすすめです。
和牛は日本独自の基準で交配・肥育された牛肉で、特有の甘い香りと霜降りの多さが特徴として挙げられます。適度に脂身が入ったお肉が好きな人に向いています。
赤身と霜降り、好みに合わせてオージービーフか和牛を選ぶとよいでしょう。
お肉の厚さ
お肉の厚さもステーキの仕上がりを左右する重要なポイントです。お肉は厚いほどゆっくりと火が通り、焼き過ぎて硬くなってしまう心配がなくなります。ステーキ用であれば最低でも厚さ2cm以上のお肉を選ぶのがおすすめです。
ドリップの有無

ドリップとは、生のお肉から出ている赤い肉汁のことです。ドリップはお肉の水分や栄養分、そして旨み成分を外に流してしまいます。そのため、ドリップが出ているお肉はパサつきやすい上に風味も乏しくなりがちです。できるだけドリップが出ていないお肉を選んでください。
乾燥しているかどうか
水分が多すぎると肉の表面温度が上がりにくく、焼き目がつくのに時間がかかりがちです。結果として、火を通しすぎてしまう恐れがあります。
表面があまり濡れておらず、少し乾燥しているように見えるお肉がおすすめです。
ステーキの焼き加減

ステーキの焼き加減は、レア・ミディアムレア・ミディアム・ウェルダンの4種類です。それぞれの特徴を紹介します。
レア
レアは、お肉の表面だけを焼いた状態です。中は赤く生の状態で、肉汁が多く、表面をフォークで押すとかなり沈み込みます。霜降り肉におすすめの焼き加減です。
ミディアムレア

ミディアムレアはレアよりは火が通っているものの、中心部は生の状態です。切ったときに赤い肉汁が流れ出ます。ステーキの焼き加減4種類の中でも、特に人気がある方法です。
ミディアム
ミディアムは、お肉全体に適度に火が通った状態です。中心部は薄いピンク色で、ミディアムレアに比べると切ったときに出てくる肉汁は少なめとなります。
赤身系のお肉に適した焼き方で、凝縮された旨みと歯ごたえを楽しめます。
ウェルダン
ウェルダンは全体をしっかり焼いた状態です。赤い部分はほとんどありません。歯切れのよさを楽しみたい・生のお肉が苦手という人におすすめの焼き加減です。部位によっては、ウェルダンにすることで旨みを凝縮できて美味しさがアップします。
ただし、あまり加熱し過ぎるとパサついてしまうため、焼き過ぎないよう注意が必要です。
ステーキの基本的な焼き方

ステーキは焼くだけというシンプルな調理法でありながらも、非常に奥深いです。焼き方一つで出来栄えが大きく変わりますが、特別難しいわけではありません。焼き方の流れやちょっとしたポイントを押さえれば、美味しいステーキにできるはずです。
ステーキの基本的な焼き方の流れは以下の通りです。
- お肉を常温に戻す
- お肉の筋を切る
- お肉を平らにする
- 塩を振る
- フライパンを温める
- こんがりと焼き色が付いたらひっくり返す
- フライパンから取り上げて3分ほど放置する
- 再度温め直す
それぞれの工程やポイントを解説します。
1. お肉を常温に戻す
冷蔵庫から出してすぐに焼いてしまうと、外側と内側の温度差が大きく、火が均一に通りません。厚みが1cm程度のお肉であれば30分前、厚みのあるお肉の場合は1時間前には冷蔵庫から出して常温に戻してください。
2. お肉の筋を切る
筋が残ったままだと嚙み切れず食べにくくなってしまうでしょう。目視で確認できる筋があれば、包丁で切っておくと美味しく仕上がります。筋が多く包丁で一つひとつ切るのは大きな手間となってしまう場合、フォークで刺して筋を切る方法もおすすめです。
3. お肉を平らにする
お肉の表面を手でならして平らにし、厚さが均一になるように整えます。お肉を平らにならし厚みを整えることで、お肉全体にムラなく火が通るためです。また、綺麗な焼き色がつきやすくなるため、美味しそうな見た目に仕上げられます。
4. 塩を振る
焼く前にお肉全体に塩を振りましょう。下味をつけるだけでなく、焼いたときにお肉の旨みが流れ出てしまうのを防ぐ効果もあります。
ただし、塩を振ってから焼かずに置く時間が長いと、逆に旨みが外に流れてしまう恐れがあります。焼き始める直前に塩を振るのがポイントです。
5. フライパンを温める
ステーキを焼く際はサラダ油ではなく、牛脂を使うのがおすすめです。肉の旨みが引き立つため、より美味しいステーキに仕上がります。
フライパンが温まったらフライパンにステーキ肉を入れて中火で焼いていきます。焼くときにお肉の表面に油を塗ると、お肉が乾燥するのを防げる・焼き色が綺麗につくためおすすめです。
火加減にもよりますが、焼き時間の目安は2分前後です。
6. こんがりと焼き色が付いたらひっくり返す
片面にこんがりと焼き色が付いたらひっくり返し、もう片方の面にも焼き色を付けていきましょう。
7. フライパンから取り上げて3分ほど放置する
両面に綺麗な焼き色がついたらフライパンから取り上げて、お肉をアルミホイルで包んで3分ほど放置しましょう。この工程により肉汁がステーキ内部を循環するため、ジューシーで柔らかいステーキに仕上がります。
8. 再度温め直す
3分ほど経ったらフライパンに戻して温め直します。弱火で30秒前後が目安です。加熱し過ぎると硬くなってしまうためご注意ください。
このようにちょっとしたポイントを押さえて焼くことで、美味しいステーキに仕上がります。
まとめ

ステーキはお肉を焼くだけというシンプルな調理法だからこそ、使うお肉の種類や部位、焼き加減によって全く違った仕上がりになります。自分の好みに合う美味しいステーキを作るためには、お肉選びや焼き方のポイントを押さえることが大切です。
今回紹介した内容を参考に、自分好みのこだわりぬいたステーキ作りに挑戦してみてはいかがでしょうか。