近年流行が続くキャンプには、さまざまなスタイルがあることをご存じでしょうか。最新トレンドを重視したキャンプもよいですが、初心者向けから上級者向けまでさまざまなキャンプスタイルがあるため、あらかじめ自分に合ったスタイルを見つけておけば、より楽しい時間が過ごせるかもしれません。
この記事では、代表的な6つのキャンプスタイルの概要と魅力を解説します。これからキャンプを始める際や他のキャンプスタイルに挑戦する際に、ぜひ参考にしてください。
グランピング

グランピングとは、「グラマラス(豪華な)」と「キャンピング」を組み合わせた造語で、必要な設備・道具が整った施設でキャンプを行うスタイルです。グランピング施設は緑の多い場所に立地していますが、コテージやトレーラーなど雨風が完全にしのげるタイプも多く、キャンプの魅力と心地よい生活が両立しています。
グランピングの魅力
他のスタイルに比べて手間のかからないグランピングは、キャンプ初心者や、小さなお子さんのいる家族におすすめのスタイルです。次のポイントに魅力を感じる方は、挑戦してみてください。
キャンプを手軽に楽しめる
グランピングの魅力は、何といってもキャンプ道具の準備やテント設営・撤収の必要がなく、気軽にアウトドアを楽しめることです。ホテルに近い環境で過ごせるうえに、キャンプの醍醐味の一つである森林浴や川遊び、釣りといった自然体験も、ほとんど手ぶらで堪能できます。
さらに、食材の用意や料理の下準備も施設側に担当してもらえるため、食事の心配がありません。宿泊費が通常のキャンプやホテル宿泊より割高になる点がネックになる一方、人数分の道具を用意する費用が浮くため、それほど損をせずに参加できる可能性もあります。
豪華な施設に宿泊できる

グランピング施設の中には、広いリビングスペースやホテル風の宿泊施設があり、リゾートでのバカンス気分が味わえます。通常のキャンプは衛生面が不安という声もありますが、グランピングなら空調や水回りの設備が整っていることも多く、安心して過ごせるでしょう。施設によってはドッグランやサウナが付いており、さまざまな楽しみ方ができます。
現状、地域によっては施設の選択肢が少ないものの、2015年頃からグランピングブームは加速しており、施設数も増えているので、今後の期待が高まります。
ソロキャンプ

ソロキャンプは、その名のとおりサイト設営から撤収まで1人で行うキャンプです。人間関係にとらわれない自由さを求める「おひとりさま」ブームや、密を避けるコロナ禍の影響もあり、人気や認知度が急速に高まっています。
ただし、楽しいキャンプの裏腹には野生動物、滑落事故、不審者など多くの危険が潜んでいるため、特に女性のソロキャンプは注意が必要です。防犯ブザーや南京錠などの防犯グッズや、防寒対策、救急セットを用意するなど対策しなければなりません。
ソロキャンプの魅力
ソロキャンプはコミュニケーションが苦手な方のほかに、キャンプのルールや準備方法を把握している中~上級者に向いています。具体的にどのような魅力があるのか見ていきましょう。
マイペースに楽しめる
ソロキャンプのメリットは、誰かに気を遣わずに1人の時間を満喫できることです。スケジュールや食事内容などをすべて自分で決めてマイペースに楽しむという、社会生活ではなかなか味わえない時間が過ごせます。誰からの邪魔も入らない空間で自然に包まれる体験は、自分自身と向き合い日頃のストレスを忘れられるひとときになるでしょう。自然に囲まれてのんびりと読書をしたり、焚き火でキャンプ料理を楽しんだり、あえてなにもしない時間を過ごしたりと楽しみ方は自分次第です。
準備が最小限で済む
持っていく道具や準備が最小限で済むことも、ソロキャンプの魅力です。1人用のテントやシートであればそれほどかさばらず、うまくパッキングできればバックパック1つに収まります。荷物の持ち運びや、サイト設営・撤収が大人数でのキャンプより楽なスタイルです。
ロースタイル

ロースタイルは、ローテーブルやローチェアなど背の低いアイテムを中心に使うキャンプスタイルです。必然的に地面に近い位置で過ごすことになり、足を伸ばしてリラックスしやすいことから根強い人気があります。
ロースタイルの魅力
ロースタイルに向いているのは、キャンプでゆったりとしたい方や、小さいお子さん連れの家族です。ロースタイルの魅力を見ていきましょう。
安定感・安全性が高い
ロースタイルはアイテムの高さが全体的に低く、通常のキャンプよりも安定感があるのが特徴です。チェアから落ちたり、テーブルが倒れたりしてケガをするリスクが減るため、子どもと一緒でもより安全にアウトドアを楽しめます。
荷物がかさばらない
コンパクトなアイテムが多いため、荷物がかさばらず比較的軽くなるのもロースタイルのメリット。自転車やバイクで移動してソロキャンプをする際も便利です。
カンガルースタイル

カンガルースタイルとは、大型のテントやタープの下に小型テントを張るスタイルのことです。カンガルーの親が子をお腹の袋に入れ込む様子に似ていることから、この名称で呼ばれるようになりました。
カンガルースタイルの魅力
テントを二重構造するという他のスタイルにはない特徴があるカンガルースタイルには、独自のメリットがあります。具体的にどのようなメリットや魅力があるのか見ていきましょう。
天候・季節を気にしなくてよい
カンガルースタイルの最大の魅力は、多少の悪天候でも安心してキャンプを楽しめることです。大型テント・タープが屋根や壁の役割を果たすため、雨や外気温の影響を受けにくいでしょう。フライシートやテント素材、暖房などによって温度調節もしやすいため、オールシーズンにおすすめできます。
自由にレイアウトできる
カンガルースタイルは、レイアウトの自由度が高い点も特徴です。大型テント・タープの下であれば好きな位置に小型テントを設置でき、チェアやテーブルを自分で考えたレイアウトで置ける楽しみも、しっかり味わえます。友だちと来た際は、寝室を別にしてプライバシーを確保することも可能です。
ワイルドキャンプ

ワイルドキャンプは、持ち込むアイテムを最小限に抑え、できる限り自然の中にあるものを生かして楽しむスタイルです。サバイバル要素が強く、釣りや山菜採りといった食料調達も現地で行えます。
ワイルドキャンプ向けのキャンプ場は、区画整備されたキャンプ場よりも自然に近い位置にテントを張れる分、事故や野生動物・有毒生物との遭遇リスクが高まります。そのため、できるだけ平らで安全な場所にテントを張り、長袖長ズボンの着用やスプレーなどで虫よけ対策を徹底することが大切です。
ワイルドキャンプの魅力
「不便を楽しむ」というキャンプの本質を味わいたい方にとって、ワイルドキャンプは非常に魅力的です。ここでは、その理由を解説します。
自然の恩恵をより受けられる
ワイルドキャンプは他のスタイルに比べて、格段に大自然の恩恵を受けられます。枝や石を活用して遊んだり、食材そのものの味を普段よりも感じられる料理を食べたりするなど、自然を身近に感じる楽しみ方が可能。自分で採った食材を自分で調理する機会は貴重ですので、安全を確保したうえで子どもと挑戦するのもおすすめです。
サバイバル知識が身につく
ワイルドキャンプを経験すると、火の起こし方や食料調達方法などの知識を実践で学べるのも魅力の一つです。限られたアイテムで臨機応変に動くスキルも身につき、災害時や遭難時にも役立ちます。
ファミリーキャンプ

ファミリーキャンプは、家族や親戚と楽しむキャンプスタイルです。長きにわたって人気が高く、ファミリー向けキャンプ場も少なくありません。
ファミリーキャンプの魅力
親しい人たちとするキャンプの楽しさは、何ものにも代えられないものです。ここからは、ファミリーキャンプの魅力を紹介します。
パーティー気分が味わえる

数あるファミリーキャンプの魅力の中でも、家族でワイワイと過ごす調理や食事の時間はメインの楽しみです。一緒に作ったり持ち寄ったりした料理、デザートをテーブルに並べれば、キャンプサイトがパーティー会場に早変わりします。サイト内の飾り付けや紙皿・コップなどの小物にもこだわれば、よりパーティー気分が味わえるでしょう。他にもバーベキューをしたりゲームやスポーツを楽しんだりするなど、家族でのんびりとした時間を過ごせます。
子供が小さい場合には、車で乗り入れができる、あるいはキャンプサイトとトイレやお風呂が近いキャンプ場を選ぶのがおすすめです。
家族間の交流が深まる
ファミリーキャンプには、家族で協力してテント設営や調理をすることで、家族の絆が深まりやすいというメリットもあります。組み立てが複雑な大型テントや人数分のアイテムを用意した場合、準備や撤収は大変ですが、苦労を共有することで家族間の信頼が高まる効果が期待できるでしょう。
また、虫取りや川遊びといった普段はできないレジャーを一緒に楽しむことで、自然とコミュニケーションが増えるため、よい思い出づくりができます。
まとめ

人気のキャンプスタイルと、それぞれの魅力を紹介しました。キャンプスタイルは幅広く、快適さを追求するものから、あえて自然の不便さを楽しむものまでさまざまです。時代によってキャンプスタイルのトレンドは移り変わるため、初心者の方はトレンドであるキャンプスタイルから始めてみてはいかがでしょうか。もちろん、トレンドに流されず、自分に合ったスタイルを選択してキャンプするのもおすすめです。
キャンプスタイルによってさまざまな魅力や楽しみ方ができるため、ぜひこの記事を参考に実践してみてください。ただし、各スタイルには注意点もあるため、下調べをしっかりすることが大切です